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○飛騨白川郷「合掌造り」の特徴
18世紀・江戸中期以降、各地の城下町などでは町人文化が栄えました。地方でも農家が徐々に経済力を蓄え、住まいも大きく充実していきました。「合掌造り」の基本的な形が出来上がったのもこのころと考えられています。また「合掌造り」にはクギは一本も使われておらず、木製の建築材やくさびなどが用いられているのも大きな特徴です。 |
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■合掌造り屋内(2階) |
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○どうしてこんな形、スタイルに
「合掌造り」の象徴ともいえる大きな屋根と急勾配が生み出す広い屋根裏は、養蚕の普及の影響を受けて発達したスタイルです。広い屋根裏は何層にも仕切られ、そこでカイコが飼われてきました。白川郷の合掌造りは、1階が生活の場、屋根裏以降は主に養蚕の場と機能が分けられています。 |
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■住まいを風から守る築地松の高さは10mほど |
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○出雲地方の「築地松民家」の特徴
中国半島から日本海に突き出たように位置する島根県・宍道湖周辺。宍道湖の西側にあたる簸川〜出雲平野では、黒松の防風林・築地松を構えた住居を見ることができます。このあたりは南と北を山でさえぎられ、東西は宍道湖と日本海という地形。東西に風が吹き抜けやすく、特に冬季は冷たい海をわたってきた最大瞬間風速25m/秒ほどもの西風が吹き荒れます。この冬の風をしのぐ住まいの工夫として、家の西側に高さ10m・厚さ1mほどの黒松の防風林・築地松が築かれてきたのです。 |
○トピックス
防風林を備えた民家としては、富山県・砺波平野の杉の防風林「かいにょ」も有名です。築地松が壁のような形だとすると、かいにょはぼんぼり状で、高い木の上の方だけ枝が発達した形になっています。これはかいにょが、春先に上から吹き下ろすように吹く強い南西のフェーン風対策に築かれてきたためです。風を防ぐことを目的にした防風林ですが、その土地の風土や地形でさまざまな違いを発見することができます。
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■砺波平野の「かいにょ」を備えた屋敷 |
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[写真・資料提供:日本工業大学 建築学科教授・伊藤庸一] |
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